【コラム】船荷証券の電子化で変わる貿易の未来②:電子船荷証券(eB/L)とは?

※本コラムは連載となります。前回はこちら

 

貿易や国際物流において欠かせない「船荷証券(B/L)」。

未だに紙でやりとりされることが多いなか、欧州などを中心に電子化に向けた法整備の動きが目立ってきています。

当コラムでは船荷証券(B/L)の電子化にはどんなメリットがあるのか、なぜ未だに実現していないのかなどについて、分かりやすく紐解いていきます。

 

第2回目となる今回は、船荷証券を電子化したものである「電子船荷証券(eB/L)」について、その定義や役割、期待されるメリットなどを解説します。

 

■電子船荷証券(eB/L)とは

電子船荷証券(eB/L)は、基本的に従来の紙の船荷証券(B/L)のデジタル版です。
電子船荷証券(eB/L)は、紙の船荷証券と同じ法的・機能的な役割を果たし、貨物の受領証、運送契約の証拠、貨物の所有権を証明する書類として機能します。
電子化することで紙よりも合理的、効率的、かつ安全なやりとりを可能にし、貿易関係者間での文書や情報の即時伝達を容易にするという効果を期待できます。

 

電子船荷証券(eB/L)が重要な理由
従来の紙の船荷証券に比べ、電子船荷証券(eB/L)は次のような利点をもたらし、海運・物流分野に革命を起こすものと考えられています。

 

  • 効率性の向上: 電子船荷証券(eB/L)の転送は最短数分で行われるため、数週間を要していた原本の移送に比べ、かかる時間を大幅に短縮できます。また、電子船荷証券(eB/L)の採用によって業務プロセスを自動化しやすくなり、貿易実務の負担を全般的に削減します。
  • コストの削減: 電子船荷証券(eB/L)への切り替えは、紙の船荷証券の管理にかかるコストの削減にも繋がります。金銭面だけでなく、時間やリソースの削減にも有効に作用します。
  • セキュリティとデータ精度の向上:電子化することで、最大の弱点であった盗難や詐欺、紛失など、物理的な文書ゆえに起こりうるリスクを軽減することができます。
  • アクセスのしやすさと利便性: インターネットが繋がっていれば、電子船荷証券(eB/L)に様々なデバイスを使ってどこからでもアクセスが可能です。さらに、データ形式での処理ができるため、人為的ミスのリスクを軽減することができます。
  • 環境へのメリット: 従来の紙ベースの船荷証券は、世界貿易の膨大な規模を考慮すると、大量の紙を必要とします。かつてないほど企業にESG経営やGXの重要性が叫ばれる昨今、電子船荷証券(eB/L)が環境のためのより良い選択肢となることは大きなメリットと言えるでしょう。また、文書の物理的な輸送も不要となることで、温室効果ガスの排出削減にも繋がります。

 

(③に続く)

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