【コラム】わかりやすく理解するステーブルコイン①:ステーブルコインとは?

ビットコインに代表されるデジタル通貨の時価総額合計は約1.35兆ドル、2023年11月6日の為替レートで換算すると、約201兆8千億円にも達する規模です。
これは世界で最も多くの自動車を販売しているトヨタ自動車の時価総額の5倍以上。
ビットコインが登場してから14年以上が経ちますが、未だにデジタル通貨についてよく分からない…という方も多いのではないでしょうか。

特に、日本で日常生活でデジタル通貨を使用する機会はほとんどなく、ギャンブルや投機の手段という印象が強いのが現実ですが、それでも毎年顕著な成長率を描きつつ、着々とその存在感を強め、もはや「よく知らないから…」と無視するにはあまりにも大きな存在になってしまったといえるでしょう。
今回から連載開始となる当コラムでは、私たちにとって身近な円やドルなどの法定通貨と、「得体の知れない」デジタル通貨のと間をつなぐ「ステーブルコイン」というデジタル通貨の一種について、掘り下げて皆様にご紹介していきます。

 

ステーブルコインとは
ステーブルコインとは、その名の通り「法定通貨のように使うために設計された、価値が安定しているデジタル通貨」のことです。円やドルといった法定通貨はその価値が常に安定していますが、ビットコインに代表されるデジタル通貨は通常、価値が大きく変動するため不安定です。
皆さんが一度は聞いたことがあるはずのビットコインやイーサリアムのように、規模が非常に大きいデジタル通貨も、1日に数十%価格が上下するなど、大きな変動を見せることもあります。

このように、デジタル通貨は国が保証する通貨ではなく、価値を裏付ける資産もないため、価格の変動が激しく、決済手段として活用されにくいというデメリットがあります。
だからといって、このようなデジタル通貨の変動性を抑えるため、毎回ドルや円に交換してしまうと、そのたびに発生する多額の手数料を負担しなければなりません。

このような暗号資産の変動性の問題を解消するために登場したのが「ステーブルコイン」です。これはデジタル通貨の一種でありながら、ステーブルコインを発行した発行会社が、発行額の同額以上の法定通貨を準備金として常に持っておくことで、「ステーブルコインと法定通貨の1:1交換を約束した」とみなすことでその価値を安定させています。

例えば、A社が10,000円分のステーブルコインをブロックチェーン上で発行した場合、A社はそのステーブルコインが10,000円の価値と同等であることを保証できるように、常に実際の法定通貨10,000円を保有しているということです。 そのため、通常のデジタル通貨とは異なり、ステーブルコインは価値の安定性が高く、その中でも香港のTether社が発行する「USDT」と米Circle社が発行する「USDC」が最も発行総額が多く、安定性も評価されています。

(②に続く)

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