宮田織物株式会社

福岡の老舗織物の『綿入はんてん』が海外で動き出すまで――2年の継続を決めた理由宮田織物株式会社 様

1913年創業の宮田織物株式会社は、綿入はんてんや作務衣、甚平などの和装製品を手がける老舗織物メーカーです。糸選びから縫製まで自社で一貫する純国産のものづくりにこだわり、創業から113年を数えるいまも、海外展開という新たな挑戦に本格的に取り組んでいます。同社は2024年1月に『おまかせ貿易』を導入。2年間の取り組みを経て、2026年に継続契約を結びました。導入直後の記事では描ききれなかった「2年でどう変わったのか」「なぜ継続を選んだのか」を、代表取締役社長の吉開様を中心に伺いました。

課題

  • 海外に届けたい思いはあっても、何から手をつければよいか分からなかった
  • 過去のスポット輸出は、ノウハウ提供元との関係が途切れ継続が難しくなっていた
  • 社内に貿易実務・海外対応を担える体制がなかった

現状

  • フランスで初の本格的な海外売上を計上
  • クラウドファンディングで目標の約8倍となる237万円を達成
  • アメリカでも現地で確かな手ごたえを得て、次の展開に向けた準備が進行中
  • 季節に左右されない「生地売り」など新たな商流を確立中

導入当初、どんな課題を抱えていましたか?

私たちはもともと、自分たちのつくったものを海外の方にも味わっていただきたいという思いを持っていました。商品には自信がありましたし、きっと喜んでいただけるはずだという確信もありました。実際、過去には生地の輸出やネット通販を通じて、フランスやイギリスへお届けしていた時期もあります。数十年前にさかのぼれば、これらの地域に商品を出していたこともありました。

ただ、それらはあくまでスポット的な取り組みでした。ノウハウをお持ちだった取引先との関係が途切れてしまうと、継続するのが難しくなってしまう。本格的に海外へ出ようと思っても、「何から手をつければいいのか」が分からない。そんな状態だったのです。

『おまかせ貿易』に出会ったとき――当時は『まるなげ貿易』という名前でしたが――その「まるなげ」という言葉が、私たちのニーズにぴったりだと感じました。とはいえ、ただ商品をお渡しして売ってもらえればいい、というわけではありません。貿易事務や市場調査まで含めてお任せしながら、思いを込めてつくり上げたものを一緒に売っていただく。そんな伴走を期待していました。

2年間の継続を決めた理由と、その背景を教えてください。

正直にお話しすると、迷いがなかったわけではありません。実際に海外で形になるまでの動きは、想像していたよりも時間がかかりました。これはSTANDAGEさんだけの問題ではなく、私たち自身の方針転換も含めてのことですが、当初思い描いていたプロセスが2年では終わらなかった、というのが率直なところです。費用の面でも、検討すべき点はありました。

それでも継続を決めたのは、海外の販路づくりは1~2年で大きく花開くものではない、と理解していたからです。私たちは113年にわたり事業を続けるなかで、急ぐべきことと、急がずにじっくり取り組むべきことを見極めてきました。もともと海外に出ていた経験もありますし、「分かってくださる方に、長く愛されていく商品だ」という自負もあります。腰を据えて取り組むべきだという考えが、継続の判断を後押ししました。

加えて、担当の方々が本当によくしてくださったことも大きい。最近では、担当の方がパリでの展開を進めてくださっていて、その動きは本当に素晴らしいと感じています。大きく花開くのは3年目から――そう期待しています。

2年間で実際に出た成果と、取り組みの中身を聞かせてください。

定量的な成果として、いちばん大きかったのはクラウドファンディングです。初めての挑戦で、目標金額の約8倍にあたる237万円を達成することができました。これは私たちにとって、大きな手応えとなりました。次回は、新しい商品でのさらなる挑戦も控えています。

次回クラウドファンディングのための撮影の様子

販路の面では、フランスで初めての本格的な海外売上を計上できました。想像以上に多くの反響をいただき、価格の折り合いなどから、すべてにはお応えしきれないほどの手ごたえを感じています。アメリカでも現地で製品に関心を寄せていただく機会が増え、次の展開に向けた動きが少しずつ具体的になってきました。

定性的な面では、ずっと目標にしてきた『海外に安定して製品を届けていく道筋』が、担当の方の動きから少しずつ見え始めてきました。気軽にご相談できる関係も、ありがたく感じています。

一方で、先ほど申し上げたとおり、動きの遅さを感じた場面があったのも事実です。ただ、海外展開に取り組むなかでテレビに取り上げていただくなど、思いがけない広がりがあったのは、嬉しい誤算でした。

使い続ける中で気づいたことや、社内での変化を教えてください。

いちばんの変化は、海外輸出がぐっと身近になったことです。導入する前は、海外なんて自分たちには届かない世界だと思っていました。それが、手の届くものに変わりました。

商品開発の面でも気づきがありました。担当の方が海外の視点からさまざまな提案をしてくださるので、自社にいるだけでは分からない文化の違いが見えてくるのです。たとえば最初のクラウドファンディングのとき、浅草の街なかでの撮影を提案いただきました。綿入はんてんといえば、これまでは家庭向けの防寒着として訴求するのが当たり前でした。それが、海外の方がかっこよく着こなしたり、プロモーションにダンスを取り入れたりと、「海外のおしゃれ着」として見せる。これは私たちにとって、まさに目からうろこでした。

『綿入はんてん』のプロモーションムービーの一部

九州で、自分たちだけでやっていたら、こうした発想は出てきません。やはり餅は餅屋で、常に海外と接しているSTANDAGEさんならではの視点に、大きな価値を感じています。

実務の面でも実感があります。以前EMSで送ったときには、サイトのどこからどう進めればいいのかも分からず、面倒に感じた経験があります。地方では、現地の運送会社の方ですら海外配送に詳しくないこともある。いざ自分たちだけで英語や外国語で進めるとなると、やはり大変です。一度、海外のデザイナーとオンラインで話したときにも、言葉のハードルを感じました。だからこそ、言語の安心感はとても大きい。「フランスに売りたい」と思ったときに、バイヤーをどう探すのか、人をどう採用するのか――分からないことだらけのところを、まるごと解決してくださる。そう思えたのが導入のいちばんのメリットだと感じています。

これから狙っていきたい市場と商品を教えてください。

まず狙いたいのは、フランス・パリです。今に始まったことではなく、ずっと以前から、ヨーロッパ、とりわけフランスは目標でした。服の最高峰はフランスだという思いが、ずっと頭にあったのです。

23万人超が来場するパリの日本文化イベント『Japan Expo Paris』(2026年7月)に並ぶ宮田織物の綿入はんてん

ただ、いたずらに市場を広げたいとは考えていません。綿入はんてんが、じわじわと体を温めてくれるように、海外にもじっくりと広めていきたい。衣類のサイクルが速い時代だからこそ、一着を大切に着る文化を伝えていきたいと思っています。

商品については、冬が主役の綿入はんてんだけでなく、ほかの季節でも展開できるものを考えています。もともと私たちは織屋であり、余った糸を次の商品に生かすことを大切にしてきました。その思いから、靴下や5本指手袋、多目的カバー、ソーイングキットといったアップサイクル商品も手がけています。こうした商品も、いずれは海外へ届けていきたいですね。

次の2年、STANDAGEに期待することを聞かせてください。

不満らしい不満はありません。期待することを挙げるなら、いま進めていただいているパリでの挑戦と、次のクラウドファンディングを、ぜひ成功させたいということです。

そしてお願いがあるとすれば――ぜひ一度、私たちのものづくりの現場を見にきていただきたい。現地の文化を肌で感じていただくことで、「こんな業種や業界があるのか」といったヒントが見えてくるはずです。良いところも、課題も、現場でこそ分かる。私たちもまた、現場でしか生まれないものがあると信じています。

2年間使い続けた理由を一言で言うと何ですか?

最後に、お三方それぞれに、継続の理由を一言で伺いました。

「スタッフの方たちが、良いから」(代表取締役社長・吉開様)。企業と企業のお付き合いである前に、最後は人と人。そう感じさせてくれる関係こそが、いちばんの理由だといいます。

「可能性」(取締役・湯浅様)。製造メーカーとしての自負に、担当の方からの新商品の提案――海外で受け入れられそうな商品を一緒に考えてくれること――が重なり、クラウドファンディングで確かな手応えをつかんだ。パリへの広がりも見えてきた。あらゆる場面で、可能性を感じられたといいます。

「安心、そして頼もしい」(樋口様)。レスポンスの速さ、疑問への丁寧な回答。その積み重ねが、信頼につながっているといいます。

2年間を経て結んだ、新たな継続契約。宮田織物の挑戦は、ここからが本番です。

※掲載内容は取材当時のものです。

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